手のひらの話

物語のような、呟きのような…

2019-01-01から1年間の記事一覧

梅原猛氏を悼む

『水底の歌』を再読した。読み始めて数日、梅原猛の訃報。ある種、怒りに似た感情。梅原氏の古代論文への反論を目標と定めたばかりだった。10代で初めて『神々の流竄』を読み、以後『隠された十字架』『水底の歌』『聖徳太子』などの20代だった。『地獄の思…

謎解きの鍵

「迷信は信じないが伝説は信じる」 子供の頃に読んだ「ぽっぺん先生と笑うカモメ号」の中でのカモメの言葉。 不思議とよく憶えている。古代が好きなので歴史の謎解きをするが、行き詰まったら伝説を頼る。 分量も少なく、整理された古代の文献をいくら読んで…

桜は神の座(くら)である。諸説の中でも魅惑的な説だ。 春先、実りをもたらす田の神が山から里へ降りてくる。桜の花は稲作の神の依代。人は春の訪れを喜び、秋の豊作を祈って桜の木の下に集う。 二千年変わらぬ風景である。

大ガラスへのオマージュ

2004年、大阪市内で開催されたマルセル・デュシャンの展覧会に行った。 デュシャンの作品だけではなく国内外のアーティストによるオマージュ作品が数多く展示され興味深かった。 入口に巨大なカラスのオブジェ。吉村益信氏の「大ガラス」。デュシャンの代表…

喜界島の味

喜界島出身の方と知り合ったので、焼酎「喜界島」を飲んだ。30年余り前の記憶がよみがえった。 二十歳の時、沖縄旅行を企てた。大阪南港から奄美経由のフェリーに乗った。2等船室で乗り合わせた人たちに名瀬で下船する年配の一団があった。一人の男性が気さ…

柿本人麻呂

枕詞と言うのは口承文学の名残りではないかと仮定したのですよ。 ところがね、柿本人麻呂の歌では、枕詞は全く違うものに変容しているのです。 古事記に採録されている神々の歌にみえる古拙な枕詞ではなく、文学的に昇華しているのです。古い枕詞を独自に解…

はやたま?

高校3年の夏、紀伊半島旅行を計画した。大阪の天王寺と南紀の新宮を往復する夜行列車を利用した。かつては寝台車を連結していたので「はやたま」の愛称があった。 私の時には寝台車はなく、従って愛称もついていなかったが鉄ちゃん達は「はやたま」と呼んで…

偽史の世界

10代の頃「古事記以前の書」と言うものにこだわった。「古史古伝」などと呼ぶが、今でも流布しているのだろうか。 と言うのも新聞の広告に「ホツマツタエ」の文字を見たからだ。これなども超古代から伝えられた文献であるかのように喧伝されているが、どう遡…

柳の途中

中学生の頃、薬師丸ひろ子がアイドルだった。主演の映画と同じタイトルの主題歌「セーラー服と機関銃」は来生たかおの「夢の途中」のカバーだった。 ある日、新聞のラジオ欄に「来生たかお『柳の途中』」とあったので切り抜いて深夜放送に投稿した。笑い話だ…

冷や酒

料理屋で清酒を注文する時「冷や」が通じなくなって久しい。そう言うものだと思って「常温でください」と言うようにしていたが、先日うっかり「冷やで」と言うと「常温か燗しか出来ません」との答え。はっと思いなおして「常温でいいです」 でも本当は「常温…

悪夢について

怖い夢を見た。 乗り合わせたバスが道路を外れ、恐ろしげな沼地へ入り込んで行く。俺は死ぬのだ、と思った時、目覚めた。 薄暗い明りの寝室で天井を見つめて今の夢を思い出してみる。みっつばかりの場面が続いているような、同時に展開しているような内容だ…

ブイヨンとか

ブイヨンと言うのはね、つまりは出汁なんですよ。 昆布と鰹を合わせて旨味を抽出する。同様に肉類と香味野菜の旨味を煮出したのがブイヨンなんですね。 ちなみに魚の出汁はフュメと言います。正しくはフュメドポワソン。「魚の出汁」て感じの意味です。 肉の…

母のことなど

焼酎? 面白いですよ。 各地にこだわりの焼酎があって。芋、麦、米、蕎麦。 かつては米に芋などを混ぜていたのが、今では芋100%とか…。 米がなければ発酵しないが、米は値が高いから芋や麦を混ぜていたのが、いつの間にやら芋、麦が主役ですよ。 昔々はね南…