手のひらの話

物語のような、呟きのような…

悪夢について

 怖い夢を見た。

 乗り合わせたバスが道路を外れ、恐ろしげな沼地へ入り込んで行く。俺は死ぬのだ、と思った時、目覚めた。

 薄暗い明りの寝室で天井を見つめて今の夢を思い出してみる。みっつばかりの場面が続いているような、同時に展開しているような内容だった。キッチンの場面、街を歩いているような、そしてバス。

 夢の中の私には、それぞれの展開が不思議でもなかったが、目覚めてみると俺の頭の中はどうなっているのだろうと考えてしまう。

 連日のようにテレビでは不可解で不愉快な報道が続き、妄想の凝固したドラマが流される。家の外に出てもしかり。気分の悪くなる刺激を受け続ける。

 それらが目覚める前の私の脳裏を去来する。寝覚めの悪さは世間のせいか。

 たまには気分良く目覚めることもあるが。