手のひらの話

物語のような、呟きのような…

柿本人麻呂

枕詞と言うのは口承文学の名残りではないかと仮定したのですよ。

ところがね、柿本人麻呂の歌では、枕詞は全く違うものに変容しているのです。

古事記採録されている神々の歌にみえる古拙な枕詞ではなく、文学的に昇華しているのです。古い枕詞を独自に解釈して使っていることもある。

人麻呂と同時期の万葉の歌でも、枕詞はあくまでも古来の用い方をしているのです。ところが人麻呂作だけは違う。

古事記の雄略帝の物語の中に神話のヤチホコの神の歌に擬したものがあるのですが、これなど、ひょっとしたら人麻呂の作ではないかと空想します。