手のひらの話

物語のような、呟きのような…

柳の途中

中学生の頃、薬師丸ひろ子がアイドルだった。主演の映画と同じタイトルの主題歌「セーラー服と機関銃」は来生たかおの「夢の途中」のカバーだった。

 ある日、新聞のラジオ欄に「来生たかお『柳の途中』」とあったので切り抜いて深夜放送に投稿した。笑い話だがこのハガキを中島みゆきが大笑いで取り上げた。録音したカセットテープはいつの間にかどこかへ行った。

 当時の友達が言うには、夢と柳はや行だから活字を取り違えたのだと。誤植と言うことだ。ところが活字を拾うことのない今では誤植は起こりえないが、誤変換は頻発している。印刷物では少ないが、ネットでは珍しくない。それを逆手に取った表現もあって面白い。

 テープへ録音と言うのはどうなのだろう。デジタル時代になってコピーは複製ではなく本物を増やす、増殖となった。安易な録音も出来なくなった。

 逆に古典的な録音録画が昔より上質に可能となっているのではないか。テレビの前にラジカセを置いて録音していると、親父の屁音が入る。

 環境さえ整えばスマホの再生音が良くなっているので、それを別のスマホで録音すればいい。コピー制限も気にしなくてもいい。

 実際YouTubeでそんな動画を見たことがある。

 世の中、いたちごっこ。これは真理だな。