手のひらの話

物語のような、呟きのような…

偽史の世界

10代の頃「古事記以前の書」と言うものにこだわった。「古史古伝」などと呼ぶが、今でも流布しているのだろうか。

と言うのも新聞の広告に「ホツマツタエ」の文字を見たからだ。これなども超古代から伝えられた文献であるかのように喧伝されているが、どう遡っても近代のものだ。

古史古伝のルーツはウエツフミであろうと思われるが、これも江戸時代後期のものだろう。つまり賀茂真淵本居宣長らが国学を大いに進展させた時代に、それに乗じて如何わしい文献がいくつも生産された。

近代では神道系の新宗教に軍部、右翼が関与し、大部な偽書が拡大生産された。

戦後では昭和50年代に津軽の民家から古代の歴史を伝えると言う江戸時代の文献が発見され論争となった。今ではその発見者の創作と結論されているが、この文献生産に柳田民俗学の遠い影があることを大塚英志が論証している。

それにしても「ウガヤ73代」はどこから出て来たのだろうか?