手のひらの話

物語のような、呟きのような…

梅原猛氏を悼む

『水底の歌』を再読した。読み始めて数日、梅原猛の訃報。ある種、怒りに似た感情。梅原氏の古代論文への反論を目標と定めたばかりだった。10代で初めて『神々の流竄』を読み、以後『隠された十字架』『水底の歌』『聖徳太子』などの20代だった。『地獄の思想』から仏教思想に入り、日本古代史への思考も深めて来た。

40代以降気になり始めたのが、梅原説を信じきっている人の多いことだった。私は自身の知識が深まるほどに梅原説への懐疑がつのっていたが、それはつまり私が多くの文献に接し、考え続けて来たからなのだろう。私は梅原学への大反論を企てていたのだ。